相続に関する話題の中で必ずと言っていいほど出てくる『遺留分』という言葉。
簡潔に言ってしまうと、『必ずもらえるはずの相続財産』ということになります。
例えば父が、『私の財産はすべて長男に相続させる』と遺言したとしても、妻や他の子供は一定の割合の財産をもらうことができます。これが遺留分です。
割合としては、『元々相続人としてもらえるはずだった割合の2分の1』となっています。
(※3分の1の場合もある)法定相続なら500万もらえるはずだった人は250万円の遺留分を請求する権利があるということです。
以前はこの遺留分、たとえば兄弟のうち長男だけがある土地を相続した場合に、次男が遺留分請求すると、その土地は直ちに共有となっていました。
共有財産は兄弟の考え方の違いから処分や管理に支障をきたすことも多々あります。兄が売却したいと思っても、弟が頑なに応じなければ、その不動産は活用されないま宙に浮いてしまいます。兄の持分だけ買ってくれる人もそうそういないでしょう。
そしてこの共有持分は、財産の価格から導き出すため、兄15864/21643、弟5779/21643のような煩雑な持分割合になってしまうことが多いのです。
これでは不動産の活用が滞り、経済活動の活性化につながらないということで、遺留分の請求は原則金銭で行うことになりました。この制度は令和元年7月1日に既に始まっています。
ということは、遺言により多く財産をもらえる側は、遺留分の請求に備えある程度金銭の準備をしておく必要があります。また、遺言書を書く際には、この遺留分のことも考えて、ある程度はバランスよく財産を遺した方が、後々の争いの芽を摘む意味では賢明といえるかもしれません。
最後に、この遺留分請求の権利、兄弟姉妹にはありません。
兄弟姉妹に財産を渡したくない人は、『この財産を〇〇に全て遺贈する(相続させる)』と遺言してしまえば、兄弟姉妹、または甥、姪に財産が一切移ることはありません。
Comments