人生100年時代とよばれ久しいですが、平均寿命が長くなった現在、避けて通れない問題に『介護』というものがあります。認知症の親を長男の嫁が自宅で介護している…という家庭も多いのではないかと思います。このとき長男が親より先に不慮の事故や病気で亡くなってしまい、未亡人となった嫁が引き続き義親の介護を続けた場合、義親の遺産は相続によりどうなってしまうのでしょうか。
長いこと介護を続けていたのから人情的には嫁に財産が渡って欲しいと思いますが、この嫁、一切財産を相続することはできません。
仮に長男に他の兄弟がいた場合、遠くに離れて住み、盆暮れ正月しか顔を見せない兄弟であっても相続権はそちらに移ってしまうのです。
これでは長年介護を続けてきた嫁が報われない…ということで、このような嫁にも一定の額を他の兄弟に請求できるようにしようと『特別寄与料』の制度が令和元年7月1日以降発生した相続に適用されることになりました。
この『特別寄与料』の算定は一定の額が決められているわけではないので、請求する嫁と請求される兄弟との話し合いということになります。
話し合いをスムーズに進めるには、嫁が長年介護を行ってきたことを証明するため、介護日誌を書いておくのが望ましいといえます。もしも裁判になってしまった場合でも強い証拠となりえます。
また、この『特別寄与料』の請求は親族に限られます。他人(内縁の妻など)が介護を続けた場合はこの制度は使えません。
限定的な制度であるので、介護してくれた人に財産を遺したいのであれば、やはり遺言をしておくのがベストといえるでしょう。
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